ぽんず製造所

御アクセスありがとうございます。当ブログの閲覧にあたりまして「当ブログについて」の内容に同意したものとします。

オートトランス式昇圧コンバータの試作

今まで、バッテリーなどの低電圧からEML用の高圧コンデンサを充電する際には、主に昇圧チョッパを使っていました。
ヒステリシス電流制御を開発によって高出力も出せて使い勝手も良かったのですが、昇圧チョッパの原理的に、スイッチング素子には大電流を流す・出力電圧がそのまま掛かるため、大きな負担がかかっていました。
高耐圧の素子は一般的にオン抵抗(MOSFETの場合)が大きく、そこに大電流を流すとなれば、大きな損失が発生します。損失は熱になるので大きなヒートシンクが必要になります。小型化・高出力化が求められるEMLでは熱の問題はより厳しいものとなっていました。
高耐圧でも低オン抵抗な素子もあるにはあるのですが、値段がお高い&ドライブが大変なので実用的ではありません。
EMLでは12V→400Vなどといった高昇圧比ですが、正直こんな昇圧比かなりきついものがあります。

そこで今回試作したのがオートトランス式昇圧コンバータです。
IMG_20200619_040928

ググっても、使用例が少ないのか、ググり方が悪いのか、あまり情報が出てこなくて(あるにはある)正式名称もよくわかりませんでした(アナデバ曰く"タップ付きインダクタ昇圧コンバータ"だそうです)。
昇圧チョッパの派生のような回路で、インダクタにオートトランス(単巻変圧器)を用いています。フライバックコンバータの非絶縁な形とも見れると思います。トランスとして使ってる感じではないのでこの呼び方は微妙かもしれないです。

動作原理としてはほとんど昇圧チョッパと似たような形になります。




記事書いてたら眠くなってしまったのでまた後で追記します。

5月分

写真は今月の進捗状況です。

IMG_20200530_044308

残念ながら部品を壊しまくってしまい見せられるものがありません。
今月は異常です。

LGの電流引き抜きについての実験

気分転換しようと思いまして、去年作った多段式LGで遊ぶことにしました。乱雑にしまってあったんで結構断線してたり若干修理が必要でした。
IMG_20200401_161953

どんな回路だったか思い出すついでに基板の配線も見直してみたところ、電流検出の部分に配線ミスが見つかりました...。つまり以前の実験結果が全部おかしかったことになりますが、影響はそんなに無いようですし、どうせ今回実験し直すのでまぁいいです。

実験するにあたり、速度測定用の光センサを先端部分に追加しました。
IMG_20200402_201142



今回の実験では電流引き抜きの効果について確かめようと思います。電流引き抜きは私が勝手に読んでる名前ですが、それが何なのかは今から説明します。

まず、一番初歩的というか、簡単というか、よく見るというか、サイリスタまたはトライアックを用いた回路がありますよね。サイリスタ系は電流容量が大きめで入手性が良いのでよく使われます。
サイリスタ型
LGでは、プロジェクタイルが加速コイルの真ん中らへんに来たあたりで電流が止められれば、つまりは通電時間を変えられれば、引き戻しが発生せず効率が良くなるはずです。
しかし、サイリスタは自己消弧は不可能であり、通電時間の動的な変更ができません。(還流ダイオードがなかったらどうとか逆充電がどうとかは今回は割愛します...)
この回路の場合、通電時間はコンデンサの容量とコイルのインダクタンスや抵抗成分などで決まるため、それらを調整していい感じになるようにします。(なお実質変更できるのはコンデンサの容量のみなので、コンデンサを付けたり外したりして調整しているのをよく見かけます)


でもそんなの面倒くさい、通電時間を自由自在変えたいということで、スイッチング素子をMOSFETやIGBTなどの自己消弧可能な素子に置き換えたものが考案されました。
MOSFET型
パッと見通電を途中で切れる感じがしますよね。しかしよく考えると、素子がOFFしたところでダイオードを通って還流して結局のところサイリスタ型とやってることほどんど変わらないんですわ。ちなみにこのダイオードがなければ過電圧が発生して素子が壊れます。

両者の回路をシミュレーションしてコイル電流を見てみました。3msのところで電流を切ろうとしてます。
緑がサイリスタver、赤が途中で切ろうとしたverです。回路の抵抗成分で電流が減衰するのを待つのみで、切りたいところで切れていないのがわかります。
電流波形比較1


それで考案されたのが回生型回路です。今までとは違い2つ素子を使い少々複雑です。
回生型
両方の素子をONすることでコイルに電流が流れ、両方OFFで電流を切ります。OFF時のコイルの両端電圧はコンデンサ電圧と同じくらいになるので、コイル電流をスパッとゼロまで落とすことができるのです。黄色がその波形です。
電流波形比較2

他にもスパッとする回路はいろいろありますが今回は省略します。


このスパッとゼロまで持っていくことをを電流引き抜きと呼んでますが、実際のところどの程度効果があるのか確認してみたいと思い、実験することにしました。




実験の前に、使用した回路やコイルなどの装置の説明をします。
コイルは5段で、間に光センサ、先端の方には先程追加した速度測定用の光センサがあります。
本体

回路全体はこのようになっています。いわゆるフル回生型のものです。
全体回路図
主回路がA回路とB回路に分かれているのは、1段目を通電した直後に2段目を通電したいとか、2段同時通電とかをやりたかったからです。

回路の制御はマイコンで行います。電流の制御自体はマイコン内のオペアンプ、コンパレータ、ロジック回路などを使いハードウェア的に行い、どの段を何秒間動かすかなどの処理はソフトウェアで行います。
以下の画像がそのマイコン内の回路ですが、これがA回路用とB回路用の2セットあります。[ハイサイド制御]、[ローサイド制御]とローサイド素子(M2~M4)の切り替え部分がソフトウェア側で制御するところです。
内部回路図
この回路を組むと、加速コイルの電流を定電流制御することが出来ます。




実験方法について説明します。

今回は電流引き抜きなしと電流引き抜きありの2つの方法を比較するため、MOSFETの通電パターンを変えます。

まずは電流引き抜きなしの方です。
ハイサイド素子(M1)は、[ハイサイド制御]がHかつコイル電流が一定以下ならON、そうでなければOFFするようにし、ローサイド素子(M2~4)は[ローサイド制御]を常時Hとしていかなる時でもONにします(もちろん駆動する段によってM2~4のどれかを選ぶ形になります)。
[ハイサイド制御]をLにして通電を停止しようとしても、コイル電流はD1-コイル-ローサイド素子を還流する形で流れ、コイル両端の電圧も小さいため、比較的長い時間電流が流れ続けるはずです。
この動作は先述した"電流を途中で切ろうとしたけどうまく切れなかった回路"に相当します。

次に電流引き抜きありの方です。
ハイサイド素子(M1)の動作は電流引き抜きなしの方と同じです。ローサイド側の動作が先程と異なっており、通電を停止しようとすれば、[ローサイド制御]をLにしてローサイド素子もOFFになるようにします。するとコイル電流はD1-コイル-D2(~D4)-コンデンサバンクの形で流れることになります。このように流せばコイル両端の電圧が高くなるため、素早く電流をゼロにすることができるはずです。


以上がありとなしの差で、以下は両方同じとします。


コイル電流は約30Aで定電流制御し、なるべく電流の変動が小さいようにコンデンサは150V前後とします。


各段の通電は以下のように行います。
①センサ1が反応した瞬間、1段目を通電
②センサ2が反応した瞬間、1段目を停止、同時に2段目を通電
④センサ3が反応した瞬間、2段目を停止、同時に3段目を通電
⑤センサ4が反応した瞬間、3段目を停止、同時に4段目を通電
⑥センサ5が反応した瞬間、4段目を停止、同時に5段目を通電
⑦センサ6が反応した瞬間、5段目を停止
といった感じで通電させます。(コイル+センサ)の長さとプロジェクタイルが両方同じ35mmなのでこの動作で大丈夫なはずです。


速度の測定は、速度測定用センサの信号を直接オシロスコープで観測し、プロジェクタイルがセンサを通過する時間と、2つのセンサを通過する時間差を測定します。プロジェクタイルの長さもしくはセンサの間隔から速度を計算し、それらの平均を結果とすることにします。




実験結果です。

生データはこんな感じ。6サンプルずつしか無いですがさほど大きな差はないので大丈夫でしょう。
生データ

速度・効率の平均は以下の通りでした。

電流引き抜きなし
速度:14.77m/s
効率:7.65%

電流引き抜きあり
速度:18.20m/s
効率:12.33%


波形です。
CH1(黄色):速度測定用センサ1波形
CH2(水色):速度測定用センサ2波形
CH3(紫色):A回路電流波形(オペアンプを通した後)
CH4(青色):B回路電流波形(オペアンプを通した後)

電流引き抜き無し
DS1Z_QuickPrint149

電流引き抜きあり
DS1Z_QuickPrint1


CH2(水色)をコンデンサ電圧にして波形を見てみました。
電流引き抜きなし
DS1Z_QuickPrint152

電流引き抜きあり
DS1Z_QuickPrint3


電流引き抜きありとなしでは出力・効率ともに引き抜きありのほうが良いという結果がでました。余裕があるのであれば、電流引き抜き回路がある分に越したことはなさそうです。

電流引き抜きなしの電流波形を見ると、各段電流を止めようとしたところでグニョンと曲がっています。普通のコイルの場合はそのままだんだん落ちていく波形になるはずですが、途中で横ばいになったり、5段目に至っては電流値が一瞬上昇しています。プロジェクタイルが抜けていくことによってインダクタンス値が減少、代わりに電流値が上昇しているんだと思いましたが、プロジェクタイルの運動エネルギーが回生されてコイル側に返ってきているとも見えます。SRモータの回生動作と同じような感じがします。よく考えたらLGなんてリニアSRモータみたいな感じですしね。

今回の実験では「電流引き抜き自体に効果がある」ということを確かめることができましたが、それがどれくらい効くのか、確実に効くのかは、条件を変えて確かめる必要がありそうです。

マスタ基板(?)

VVVFカート2号機用の電源の管理などいろいろなことをやる基板を作りました。
全システム電源のON/OFF、制御用電源の生成、電圧電流などの測定、RS-485の制御を行う基板です。RS485のマスタ用マイコンがあるってことでマスタ基板って呼んでいます。
IMG_20200327_185216

電源のON/OFFはリレーで行います。大電流が流れるため、よくあるトグルスイッチ等では許容電流オーバーとなってしまうからです。MOSFETをスイッチにしても良かったのですが、物理的に遮断出来ないのは良くなさそうだし、半導体は吹き飛びそうなのでやめました。まぁリレーも溶着しそうだけどね。

ヒューズも用意されており、メイン大電流用のと制御回路用の2系統あります。安全性を考え、メインのほうが飛んでも制御側は生きて、制御のほうが飛んだら全電源を落とすという仕様になっています。

真ん中の銀色のはDC-DCコンバータで、制御用の12Vを生成します。

VVVFカート2号機では各基板間の通信にRS-485を使う予定ですが、そのマスタ用のマイコンも載っていて、ついでに入力電圧・電流・12V系電圧・温度等を測定します。
下の方のXHコネクタが電源・RS485バスで、そこに各基板をつなぐ感じですね。


で、RS485バスに正しいデータが乗ってるか・ちゃんと通信できてるかを確認するために、LCDで簡単なモニタを作りました。
試しにマスタ基板で取得した入力電圧・電流・12V系電圧・温度を表示させています。
IMG_20200327_185627

コンバータやインバータ制御用のNucleo(STM32F446)と通信できたので大丈夫そうです。

やる気不足でこれ以外の進捗は他にありません。

正負出力400W電流型DC-DCコンバータ

VVVFカート2号機のモータ駆動用の電源として、電流型フルブリッジコンバータを制作してみました。24Vのバッテリーからモータを駆動できる300V程度の電圧まで昇圧する装置です。

IMG_20200220_190611
IMG_20200220_190633
IMG_20200217_180545

スペック
入力電圧:24V
出力電圧:±150V
出力電力:400W

モータが200Wで、過出力をさせたいな~なんてことも思ってるので一応400Wで設計しました。またインバータは3レベルインバータを使う予定なので両電源出力としました。電流モード制御を使ってるので応答性も良いです。
なぜ電流型コンバータを作ったかというと、入力電流が常に流れてくれるから・トランスの巻数比が足りなかったから・あとは作りたかったからです。最初のがとても重要で、入力電流が常に流れてくれるということはバッテリーの利用率が上がります。つまり電流型は昇圧に向いているということです。またピーク電流・リプルが小さくなりノイズが減るなど効果があります。あと電流ぶちぶち切るよりずっと流れてるほうがバッテリーにも優しそうじゃない?と勝手に思ってます。知らんけど。


なんか歪んでね??????????
IMG_20200217_180707
メイン素子に放熱器がついていませんが、筐体が放熱器みたいな感じになる予定なので大丈夫です。

入力部のインダクタはセンダストコアを使い平角銅線:通称きしめんを巻いた美味しそうなコイル。
IMG_20200209_113718

出力の整流ダイオードの放熱器はいいサイズがなかったので2つ重ねています。
IMG_20200213_192930
IMG_20200213_193039

制御基板は別になっていてメイン基板に差し込む感じになっています。
IMG_20200217_163630

今回作ったコンバータ+3レベルインバータ+LCフィルタでDC-ACを組んで実験してみた時の動画です。ちゃんと動いてくれてます。



こいつを制作するにあたって色々あったのでダラダラと書いていきます

VVVFカート1号機の電源もバッテリーで、昇圧には昇圧チョッパを使っていました。今回も昇圧チョッパを使っても良かったのですが、今回はなんとなく入力と出力を絶縁したいなということで、トランスを使った絶縁型DC-DCとすることにしました。
でもトランス巻くのめんどくせぇな...ってことで昔ジャンクで買った故障DC-ACを分解してトランスを取り出して使うことにしました。DC-ACも今回のコンバータもやりたいことが似ていて流用しやすいと思ったからです。
DSC00847

そして何よりこのかっちょいいクソダサDANGERシールが好きだからです。
IMG_20200301_001757

トランスは8個も収穫できたので1つ解体してみました。EERコアで巻数比は1次3T+3T、2次16T+16Tでした。面白いのが1次側で、銅板が1次巻線になっています。シールドじゃないですよ、巻線です。話には聞いたことあったけどほんとにあるんですねぇ。
ENKjdRPU0AEvvtX
ENKjeZUU0AAefQ-

また軽く回路も調べてみるとプッシュプルコンバータのようです。DC-ACにはPPコンがよく使われるようです。
このプッシュプルコンバータごとそのまま流用してもいいかなと思い回路を試作してみました
IMG_20200105_180127
が、トランスが思いっきり偏磁して萎えて没になりました。ついでにいうと巻数比も微妙に足りなくて最初からあまりやる気がなかった。

そんなわけで電流型フルブリッジコンバータを作ることにしました。
電流型コンバータでは、入力のインダクタによる昇圧と、トランスの巻数比による昇圧で2段階昇圧するような動作になるため、巻数比以上の電圧を出力できます。電流型コンバータのことは平地研究室技術メモ No.20100228 電流型DC/DC コンバータについてに詳しく書かれており参考にしました。
今回は巻数比が足りなかったのでちょうど都合がよく、さらに冒頭にも書いたような利点もあるので電流型コンバータを作ることにしました。

ただ、電流型フルブリッジコンバータの個人での作例が少なくわからないことが多かったため、とりあえず試作して色々実験してみました。
IMG_20200119_023349
IMG_20200126_015909

制御にPICマイコンを使用しています。マイコンとは言ってもデジタル制御しているわけではなく、ペリフェラルを使って内部で制御回路を組んでいます。メインループとかマジでwhile(1){}だけになってます

こちらは回路図です。本番も同じ回路です。PICを使う前提で描いたのでちょっと変なことになってます。あとゲートドライバとかは省略しています。
無題

制御は最初は電圧モード制御を使おうと思っていたのですが、過電流流れてぶっ壊れそうだったので、過電流保護も兼ねてくれる(?)電流モード制御を使うことにしました。
しかし電流モード制御をすると変な波形で発振(サブハーモニックとか言われるらしい)することがあります。これはスロープ補償をすることで抑えられるらしいですがちょっとめんどくさいなぁ...と思っていたところ、PICにはスロープ補償をしてくれるPRGというペリフェラルがあるらしいです。これは使うしかしかないです。
電流モード制御は電圧モード制御に比べて応答性が良いので出力の平滑コンデンサは4.7uFと小さくでき小型化にも貢献しました。
下の画像は出力100W→200Wにしたときのステップ応答の波形です。
DS1Z_QuickPrint133
黄色(CH1):入力電流
水色(CH2):出力電圧
紫色(CH3):スイッチング素子ゲート波形
200us程度で立ち上がっていていい感じです。


こんな感じで色々あったのですが結果的には良いものが出来たと思っています。クソダサDANGERシールもちゃんと見えるしね!
400Wで作りましたが無理させたら600Wくらい出ました。でも熱設計的にマズイので数秒程度の短時間定格って感じでしょうか...200Wのモータに何W出させる気だよ

そうそう、今回制御にマイコンを使ったおかげでデジタルな処理もできるのがいいところです。コンバータの制御はペリフェラルに任せて、動作の状態の設定はソフト側から設定できます。電圧と電流の情報をADCで取得したり、UARTなどの通信機能を用いて外部とやり取りするなんてこともやろうと思っています。
処理能力は良いとは言えないPICですが、代わりにペリフェラルで色々するというのが正しいPICの使い方なのかなとも思ったり...。


最後に、今回作ったコンバータ+3レベルインバータでモータを回したときのオシロの波形です。波形的にも大丈夫ですしモータもちゃんと回ってるのでVVVFカートに使うことができそうです。
Twitter
大体Twitterいます。
Youtube
Youtubeチャンネルです。実験動画等上げています。よろしければチャンネル登録お願いします。
最新コメント