3レベルインバータは、NPC型、T-NPC型、フライングキャパシタ...などいくつか方式があります。以前制作した3レベルインバータはT-NPC型でしたが、T-NPC型よりもNPC型のほうが一般的のようです。ということで、今回はNPC型3レベルインバータを制作してみました。

NPC-TNPC

今回はプリント基板を発注することにしました。
その前にユニ基で1相分試作してみました。こいつを以前制作したTNPCインバータに取り付け、問題点などを洗い出しました。NPCとT-NPCが混在するヘンテコインバータ.....

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動作確認ができたら、本番の回路・基板を設計をします。
印刷して部品の大きさなどを確認をしたり、Twitterに投稿してフォロワーにミスを見つけさせたりして熟成させていきます。

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FusionPCBさんに発注しました。

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基板は1枚あたり1相分となっており、3枚使って三相です。プリント基板は5枚とか10枚単位での注文になるので、こういう構成にすると無駄基板が少なくなるかも(?)というか10x10cm以内に三相分入らないんですわ。
ACS712系が載る電流センサ基板も一緒に製造しましたが今はまだ使いません。

それぞれの基板がどの相かは基板裏にあるジャンパで設定します。

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少しずつ部品を載せて慎重に動作確認をしていきます。

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そして完成したのがこちらです。


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キー一緒にぶん回してるの気づかなかった。Twitterに上げて言われて気づいた。

NPC型では各素子で電圧を分け合えるため、600V素子を使用しながらも400V級インバータとすることができました。2レベルで作ろうとすると1200V級素子が必要になります。
電源の関係で580V(±290V)までしか試せてないけど1000V入力くらいまではいけそう。しらんけど。
ちなみに中間電位は単純にコンデンサ分圧で生成しています。

基板一枚ずつだとこんな感じ。

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各基板はバスバーと長いピンヘッダで接続されます。バスバーがパワー入力、ピンヘッダが制御信号&電源入力です。バスバーの横にあるのが出力です。ネジ端子がお気に入りポイント。

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信号線の本数を少なくしたかったので、ゲート信号を直接送るのではなく、「出力したい状態」の信号を送るという工夫をしています。
インバータの出力はプラス、マイナス、中性点、それからハイインピーダンス(全素子OFF)の4状態が出せれば良いので、信号線は1相あたり2本で済み、3相分+電源で8本です。

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2本の線で送られた信号は、基板裏のマイコン(PIC16F18426)に入力され、相の設定、入力保護・動作状態の決定、相補出力生成、デッドタイム生成を行い、各素子のゲート信号を生成します。
以前のT-NPCのときにも同じようなことをやっていましたが、NPC型になったためマイコンのお仕事がすこし増えています。
NPC型では、例えば出力をプラスからマイナスに変えたいとき、プラス→中性点→マイナスのように必ず中性状態を挟まなければいけません。突然変えると1つの素子に全電圧がかかる時間が発生して壊れてしまいます。
そこで、PICのペリフェラルであるCWGとCLCを駆使してマズい状態遷移時には中性を挟むように工夫してみました。同時にデッドタイムの生成とかもしてます。
これができると2レベルインバータ向けに作られたパターンも入力できたりします。下の画像は中性状態が自動挿入された出力波形。

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あとは開発メモ的な。


・誤作動する
最初、徐々に入力電圧を上げていくと150Vくらいから誤作動しまくることが判明しました。
どうやら素子のターンオン・オフが速すぎてdv/dtがエグくてノイズが発生、結果的に制御マイコンが誤作動していたようです。
ゲート抵抗調整してdv/dtが大きくなりすぎない程度にしたら、最初10Ωだったのが100Ωになってしまいました。デッドタイムを多めに取るハメになったしスイッチング損失がヤバそう...キャリア100kHzとかでスイッチングしたかったのに悲しい。
さらに、マイコンの信号入力あたりのノイズが酷かったのでコンデンサを外付けして無理やり安定させました。写真はそのコンデンサ(VA, VB端子付近)と付け替えまくったゲート抵抗。

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パワー側と制御側は絶縁電源&フォトカプラで完全に絶縁されてるのにノイズが回ってくるということは、おそらく絶縁電源の中のトランスの寄生容量で絶縁電源が絶縁電源になってない(意味不明)になってるからだと予想してます。今度作るときはそのへんのことも考えないといけないですね。



・各素子が電圧を分け合わない
NPC型の利点である「素子の耐圧よりも入力電圧を大きくできる」というのは、各素子が電圧を分け合うことで実現しています。つまり綺麗に分け合っていなければマズいわけです。
上から、Q1, Q2, Q3, Q4のD-S間に掛かる電圧波形です(画像では3パルスモード出力中)。制御は問題ないはずなのに、Q3、Q4の電圧が偏ってしまっています。

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素子の寄生容量や漏れ電流の影響で偏りが発生していると予想したので、下図のように抵抗を入れてみました。

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この状態で実験を行ったところ、今度は綺麗に電圧を分け合ってくれました。

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実は設計中から薄々気づいてた問題で、シミュレータ上でも確認してたんですが、まぁ今回各素子にTVSダイオード入れるから別に抵抗無くてもよくね?ってことでいれませんでした。実際TVSでなんとかなってるのであとで抵抗は外しました。(よく見ると電圧の偏りが発生してる途中で平坦になるところがありますが、それがTVSのおかげです)


ってな感じで諸々の問題もありましたが順調に動くようになりました。基板自体のミスもある気がしますが発注し直すほどでもないかな...。