自分はコンセントからDC数百Vを得るために全波整流や倍電圧整流などを使うことが多々あります。
小電力ならこれでも問題ありませんが、大電力になると辛いものがあります。

これは全波整流を使用した時のコンセントの電圧(緑)と電流(赤)の波形(シミュレーション)です。

キャプチャ

電圧は頭が潰れてるし、電流もなんかぽこぽこお山ができたような波形になっていますね。これがとてもつらいのです。

そこで登場するのがPFC回路です。
PFC回路については下記のサイトに詳しく書いてあったので参考にしてください。
最新アナログ基礎用語集 - 力率改善回路 (PFC) - TI:http://www.tij.co.jp/lsds/ti_ja/analog/glossary/pfc.page
PFCについて:http://www7a.biglobe.ne.jp/~dft/pfc.html
さらに自分の経験を付け加えると、平滑コンデンサにかなりの電流が流れるようで、とても熱くなります。
そしてリプルを抑えようと容量を大きくすれば突入電流対策が必要になってきます。
これらの問題を解決してくれるのがPFC回路です。

PFCとは言ってもいろいろ種類があるようですが今回は一番一般的っぽい昇圧チョッパみたいな回路のものを使います。
数十kHzというコンセントの周波数より圧倒的に高い周波数でスイッチングして電流を正弦波に近づけようとします。回路構成はモロ昇圧チョッパなので出力電圧は入力電圧より大きくなります。製品では300後半~400Vの電圧にしてるものが多いようです。

そんでもってNCP1654というPFC ICを使って作ってみたやつ

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とっても雑だけど試作だから気にしない
なんか無駄にデカいフィルムコンとかついてますがその辺にあったものを使っただけです。
インダクタですが今はなき秋月のコイルを使用しています。

これが制御回路

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無理やり2.54mmピッチの基板に取り付けられてるSOPのICが今回主役のNCP1654君です。
このICはメーカーから設計用のExcelシートがダウンロードできて簡単に部品定数などを決められます。データシートも丁寧に書いてある用でゆとりのぼくからしたらかなり使いやすいICなのです。
実は以前NJM2375でPFCを作ろうとして失敗しており、設計の楽な今回のICを使ってみたわけです。
このICは電流連続モード(CCM)なので数百~1kW2kW余裕で制御してくれますのん(信頼)
今回は500Wで設計しました。Excelに値をぶち込むだけで計算してくれます。

そしてこれが500Wの負荷!

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恐る恐る電源を入れてしばらく様子を見ましたが安定して動いてるようです。
数分立つともう負荷のホーロー抵抗が250度を超えてきて、素子のヒートシンクも熱くなってきました。
試しに500W以上の負荷をかけてみましたがちゃんと電流制限されて最大でも600Wくらいしか出ないようになってました。優秀

コンセントの電圧(黄色)と電流(水色)の波形です。
電流は思ったより正弦波じゃないですが全波整流よりか全然良いです。というか電圧波形もあんまり正弦波じゃないですね(今回作ったPFC動かさなくてもこうなってるので家の中のどれかの装置のせいだと思う)

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これはコイル電流(黄色)と出力電圧(水色)の波形です。

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試作に成功したのでよかったです。
これでバンバン大電力で遊べますね。