ぽんず製造所

御アクセスありがとうございます。閲覧にあたりましては「コンテンツについて」の内容をご理解いただいた上でお楽しみください。また、当ブログの内容はあくまで趣味で行ったものであり、学術的ではないことをご了承ください。

パワエレ

PICマイコンを使ったインターリーブ臨界モードPFC回路を作った

PICマイコン「PIC16F1615」を使って、インターリーブ臨界モードPFC回路を作りました。
今回はクッソ雑に動画にまとめたので貼っときます。(YouTubeからもっと動画上げなさい(意訳)と怒られた)
のでここに文章は書きません



ようごのせつめい

PFC・・・PowerFactorCorrection:力率改善回路。商用電源を全波整流等で直流を得ると入力電流がひずみ、力率の悪化、高調波の増加などの悪影響が生じる。PFCは一般的には入力電流を正弦波(入力電圧波形)に近づけながら直流を得る回路。回路トポロジは昇圧チョッパ型が一般的で、今回もソレ。

臨界モード・・・チョッパ回路ではスイッチング素子をON/OFFしてインダクタ電流を制御するが、臨界モードはインダクタ電流がゼロになったときにスイッチング素子をONとする動作モード。インダクタ電流はゼロとピーク電流を行き来する。バレースイッチング/ソフトスイッチングとすることができるので、スイッチング損・リカバリ損が低く、低ノイズにできる。一方、ピーク電流が大きくなるので導通損などに注意。入力電流リプルが大きく、フィルタ等も大きくなりがちで嫌すぎ。

インターリーブ・・・主回路を複数用意し、等位相差で動作させる方法。今回のように2つあるなら180度位相差。これにより各相のインダクタ電流リプルが相殺され、入力電流リプルを小さくでき、臨界モードの欠点がかなり解消される。臨界モードではスイッチング周波数が可変なので等位相差動作が難しいが、これをうまくやってくれるのがPIC16F161xのAngular Timerだったってワケ。


PICで遊ぶの楽しいですね。
以上ッ!

秋月の冷陰極管インバータK-G00-500-A11の特性

だいぶ昔から秋月電子通商で売っている冷陰極管インバータ「K-G00-500-A11」の出力電圧特性・波形を雑に測定したので載せておきます。
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  測定条件・方法
以下の条件を組み合わせて、出力波形、電圧、入力電流を測定しました。測定回路は描くまでもないやつです(描くのめんどくさい)
・入力電圧:10V, 12V, 14V
・負荷:抵抗器を使用:10kΩ, 23.5kΩ, 47kΩ, 100kΩ, 200kΩ, 470kΩ, 1MΩ, 10MΩ, 100MΩ(100MΩはプローブの減衰抵抗)
ついでに、条件及び測定値から入力電力、出力電力などを計算しました。


  測定機器
・オシロスコープ(波形、ピーク-ピーク電圧、電圧実効値の測定に使用):DS1104Z、プローブ:100:1プローブ
・マルチメータ(入力電流の測定、入力電圧の確認に使用):DMM6500

今回はざっくりと特性を知りたかっただけなのでかなり雑な測定になっています。
・負荷抵抗はその辺に転がってたやつ。精度なんか知らない
・電圧はオシロの演算で測定してるけど色々と微妙そう。
・DMM6500では6桁も精度が出ますが、そこまでいらないので適当に四捨五入。


  測定結果
電圧は入力電圧に比例して大きくなるようです。1200Vp-pが最大電圧のようですね(入力12V時)。
負荷を重くしていくと電圧が落ちる特性になってますね。
負荷抵抗-出力電圧特性

ついでに出力電力特性も描いてみると、100kΩ負荷のときに最大電力が取れるみたいです。
負荷抵抗-出力電力特性

生データ置いときます。
入力電圧[V] 負荷抵抗[MΩ] 入力電流[mA] 出力電圧Vp-p[V] 電圧実効値[V] 入力電力[mW] 出力電力[mW]
10 0.01 28.4 87.2 28.2 284 79.524
10 0.0235 34.2 162 61 342 158.3404
10 0.047 41.8 300 108 418 248.1702
10 0.1 48.1 560 180 481 324
10 0.2 43.5 752 236 435 278.48
10 0.47 35.3 880 282 353 169.2
10 1 29.8 936 309 298 95.481
10 10 24.4 1000 344 244 11.8336
10 100 23.6 1030 357 236 1.27449
12 0.01 33.8 103 34.1 405.6 116.281
12 0.0235 40.9 190 72.4 490.8 223.0536
12 0.047 50 352 129 600 354.0638
12 0.1 56.7 640 212 680.4 449.44
12 0.2 51.8 896 281 621.6 394.805
12 0.47 41.9 1040 334 502.8 237.3532
12 1 35.3 1110 365 423.6 133.225
12 10 29.5 1200 410 354 16.81
12 100 28.6 1230 423 343.2 1.78929
14 0.01 39.2 119 39.5 548.8 156.025
14 0.0235 47.8 220 84.1 669.2 300.9706
14 0.047 57.6 404 148 806.4 466.0426
14 0.1 66.2 752 247 926.8 610.09
14 0.2 61.2 1040 326 856.8 531.38
14 0.47 48.8 1220 388 683.2 320.3064
14 1 41.3 1300 427 578.2 182.329
14 10 34.9 1420 481 488.6 23.1361
14 100 33.5 1440 493 469 2.43049


  波形
すべて載せると記事が長くなりすぎるので、12V時の10kΩ, 100kΩ, 1MΩ, 10MΩ, 100MΩのときの波形を貼っておきます。
100kΩ以下ではかなり歪んでいます。それ以上でも正弦波って感じではないですけど。

10kΩ↓
1_10k

100kΩ↓
4_100k


1MΩ↓
7_1M


10MΩ↓
8_10M


100MΩ↓
9_100M


以上、冷陰極管インバータの特性測定でした。

特になし

この前VVVFインバータの動画を1本上げたので紹介します。
209系のGTOインバータを真似てみました。
個人的に一番好きな音なので気合が入り,いい感じにできたと思ってます。
結構伸びておりありがたいです。



装置はVVVFカート2号機に乗せる予定で作ったこいつら↓(過去の記事)
NPC型3レベルインバータを作った
正負出力400W電流型DC-DCコンバータ
マスタ基板(?)
を使っており,24VバッテリーからDC-DCコンバータで±150Vに変換,インバータでモータを回すという構成になっています。
設定データは中央線の209系1000番台に乗って(通称)モハラジオで録音し,それと同じになるように解析・設定しました。よく知りませんが番台や編成によって設定に細かい違いがあるんですかね?とりあえず今回は[中央線の1000番台]のものになってます。







それ以外に特に進捗はありません。最近は工作ができておらず,ブログネタも特にない状況です。今後も活動は縮小気味なってしまいそうです。

正負出力400W電流型DC-DCコンバータ

VVVFカート2号機のモータ駆動用の電源として、電流型フルブリッジコンバータを制作してみました。24Vのバッテリーからモータを駆動できる300V程度の電圧まで昇圧する装置です。

IMG_20200220_190611
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IMG_20200217_180545

スペック
入力電圧:24V
出力電圧:±150V
出力電力:400W

モータが200Wで、過出力をさせたいな~なんてことも思ってるので一応400Wで設計しました。またインバータは3レベルインバータを使う予定なので両電源出力としました。電流モード制御を使ってるので応答性も良いです。
なぜ電流型コンバータを作ったかというと、入力電流が常に流れてくれるから・トランスの巻数比が足りなかったから・あとは作りたかったからです。最初のがとても重要で、入力電流が常に流れてくれるということはバッテリーの利用率が上がります。つまり電流型は昇圧に向いているということです。またピーク電流・リプルが小さくなりノイズが減るなど効果があります。あと電流ぶちぶち切るよりずっと流れてるほうがバッテリーにも優しそうじゃない?と勝手に思ってます。知らんけど。


なんか歪んでね??????????
IMG_20200217_180707
メイン素子に放熱器がついていませんが、筐体が放熱器みたいな感じになる予定なので大丈夫です。

入力部のインダクタはセンダストコアを使い平角銅線:通称きしめんを巻いた美味しそうなコイル。
IMG_20200209_113718

出力の整流ダイオードの放熱器はいいサイズがなかったので2つ重ねています。
IMG_20200213_192930
IMG_20200213_193039

制御基板は別になっていてメイン基板に差し込む感じになっています。
IMG_20200217_163630

今回作ったコンバータ+3レベルインバータ+LCフィルタでDC-ACを組んで実験してみた時の動画です。ちゃんと動いてくれてます。



こいつを制作するにあたって色々あったのでダラダラと書いていきます

VVVFカート1号機の電源もバッテリーで、昇圧には昇圧チョッパを使っていました。今回も昇圧チョッパを使っても良かったのですが、今回はなんとなく入力と出力を絶縁したいなということで、トランスを使った絶縁型DC-DCとすることにしました。
でもトランス巻くのめんどくせぇな...ってことで昔ジャンクで買った故障DC-ACを分解してトランスを取り出して使うことにしました。DC-ACも今回のコンバータもやりたいことが似ていて流用しやすいと思ったからです。
DSC00847

そして何よりこのかっちょいいクソダサDANGERシールが好きだからです。
IMG_20200301_001757

トランスは8個も収穫できたので1つ解体してみました。EERコアで巻数比は1次3T+3T、2次16T+16Tでした。面白いのが1次側で、銅板が1次巻線になっています。シールドじゃないですよ、巻線です。話には聞いたことあったけどほんとにあるんですねぇ。
ENKjdRPU0AEvvtX
ENKjeZUU0AAefQ-

また軽く回路も調べてみるとプッシュプルコンバータのようです。DC-ACにはPPコンがよく使われるようです。
このプッシュプルコンバータごとそのまま流用してもいいかなと思い回路を試作してみました
IMG_20200105_180127
が、トランスが思いっきり偏磁して萎えて没になりました。ついでにいうと巻数比も微妙に足りなくて最初からあまりやる気がなかった。

そんなわけで電流型フルブリッジコンバータを作ることにしました。
電流型コンバータでは、入力のインダクタによる昇圧と、トランスの巻数比による昇圧で2段階昇圧するような動作になるため、巻数比以上の電圧を出力できます。電流型コンバータのことは平地研究室技術メモ No.20100228 電流型DC/DC コンバータについてに詳しく書かれており参考にしました。
今回は巻数比が足りなかったのでちょうど都合がよく、さらに冒頭にも書いたような利点もあるので電流型コンバータを作ることにしました。

ただ、電流型フルブリッジコンバータの個人での作例が少なくわからないことが多かったため、とりあえず試作して色々実験してみました。
IMG_20200119_023349
IMG_20200126_015909

制御にPICマイコンを使用しています。マイコンとは言ってもデジタル制御しているわけではなく、ペリフェラルを使って内部で制御回路を組んでいます。メインループとかマジでwhile(1){}だけになってます

こちらは回路図です。本番も同じ回路です。PICを使う前提で描いたのでちょっと変なことになってます。あとゲートドライバとかは省略しています。
無題

制御は最初は電圧モード制御を使おうと思っていたのですが、過電流流れてぶっ壊れそうだったので、過電流保護も兼ねてくれる(?)電流モード制御を使うことにしました。
しかし電流モード制御をすると変な波形で発振(サブハーモニックとか言われるらしい)することがあります。これはスロープ補償をすることで抑えられるらしいですがちょっとめんどくさいなぁ...と思っていたところ、PICにはスロープ補償をしてくれるPRGというペリフェラルがあるらしいです。じゃぁ余裕じゃんということで、そいつを使って電流モード制御をすることにしました。
電流モード制御は電圧モード制御に比べて応答性が良いので出力の平滑コンデンサは4.7uFと小さくでき小型化にも貢献しました。
下の画像は出力100W→200Wにしたときのステップ応答の波形です。
DS1Z_QuickPrint133
黄色(CH1):入力電流
水色(CH2):出力電圧
紫色(CH3):スイッチング素子ゲート波形
200us程度で立ち上がっていていい感じです。(ちょいエラーアンプのゲインが小さいかも)


こんな感じで色々あったのですが結果的には良いものが出来たと思っています。クソダサDANGERシールもちゃんと見えるしね!
400Wで作りましたが無理させたら600Wくらい出ました。でも熱設計的にマズイので数秒程度の短時間定格って感じでしょうか...200Wのモータに何W出させる気だよ

そうそう、今回制御にマイコンを使ったおかげでデジタルな処理もできるのがいいところです。コンバータの制御はペリフェラルに任せて、動作の状態の設定はソフト側から設定できます。電圧と電流の情報をADCで取得したり、UARTなどの通信機能を用いて外部とやり取りするなんてこともやろうと思っています。
処理能力は良いとは言えないPICですが、代わりにペリフェラルで色々するというのが正しいPICの使い方なのかなとも思ったり...。


最後に、今回作ったコンバータ+3レベルインバータでモータを回したときのオシロの波形です。波形的にも大丈夫ですしモータもちゃんと回ってるのでVVVFカートに使うことができそうです。

ベクトル制御をやってみた

最近Twitter上でベクトル制御が流行っているようですので、自分もやってみることにしました。
というのも、実はまたVVVFカートを作ろうとしていてですね、以前のVVVFカートは単純なV/f制御だったので、今回はできればベクトル制御で動かしてみたいわけです。その試作ということです。
ちなみに前回の記事の3レベinvもVVVFカートに搭載予定だったりします。


「ベクトル制御」は聞いたことあるけど、そもそもベクトル制御ってなんぞや?ってところから始まりました。
自分は交流モータをいい感じに回すやつだと思ってたのですが、やはりそれであってるようです。
具体的には、交流モータを直流モータと同じように簡単に制御できるようにするものです。
直流電動機は界磁巻線に「界磁電流」と電機子に「電機子電流」それぞれをいい感じに流すことでトルクを制御できます。
交流電動機は交流を流せば回りますが、「界磁電流」「電機子電流」がなく制御が難しいです。
そこで、それらに対応するように、交流モータに流れる電流をうまいこと演算して「界磁電流」(Id)と「トルク電流」(Iq)に分解します。そうすると交流モータも直流モータに見えてきて簡単だよね!ってお話らしいです。


とはいえ何をどうすればいいか全然わからなかったので、すでにベクトル制御履修済みのっょっょオタクにアドバイスを貰いまくって作っていきました。

回す対象ですが、今回は誘導電動機を使ってやることにしました。
制御するなら同期電動機のほうが簡単らしいですが、入手性の問題的に無理矢理でも誘導機を使ってやります。オタクによると誘導機はスベリがあるせいですごく面倒な感じになってるらしいです。

センサありにしろセンサレスにしろ速度センサが必要っぽいので3Dプリンタでエンコーダを作りました。15枚羽で解像度が荒すぎるので一旦速度を得てから機械角に変換します。誘導機なのでそのへんは雑でも大丈夫だと信じてる(てきとう)
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そんなこんなでいろいろ試して、なんとか完成したのがこちら。
Iqに音声を重畳させることでモータから音声発生させるものです。



これの元ネタはこちらの動画で、自分はn番煎じとなります。
キャリア周波数で音声を出してるのではなく、トルクをいじって回転子を細かくプルプルさせて反作用でモータと床が振動することで音が出ます。
ベクトル制御ではd軸・q軸を制御することと、スピーカアンプのD級アンプをかけて、dqアンプとか勝手に言っています。

制御ブロック図はこちら(pdf)の図8-1とほぼ同じ構成になっています。センサあり・すべり周波数型ベクトル制御です。
制御にはSTM32F446REを使っています。PWMキャリアは25kHz、制御周期は50kHz(キャリアと山と谷でPWM値を更新できるので)です。
インバータは昔作ったコレ
オシロはIq指令(水色)と実際のIq(黄色)を表示しています。それぞれの波形はマイコンからDACで出しています。

ステップ応答を確認してみました。なんかノイズが乗っちゃっていますが見なかったことにしてください。
DS1Z_QuickPrint116
100HzでIqをふってみています。
Iq指令にIqが素早く応答すればベクトル制御がうまく動いてると言えるらしいのですが、まぁ初めてにしてはまずまずなんじゃないの?って感じです。

ベクトル制御履修済みっょっょオタクに確認していただいたところ、ベクトル制御ちゃんと動いてる認定をしていただけました。教えていただきありがとうございました。

というわけでなんとかベクトル制御ができたみたいです。とりあえず満足したし切りもいいのでここからの進捗はありませんが、VVVFカートを作るときにまたいじることになりそうです。
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Youtubeチャンネルです。実験動画等上げています。よろしければチャンネル登録お願いします。なお、当チャンネルは収益化していません。
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