ぽんず製造所

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コイルガン

LGの電流引き抜きについての実験

気分転換しようと思いまして、去年作った多段式LGで遊ぶことにしました。乱雑にしまってあったんで結構断線してたり若干修理が必要でした。
IMG_20200401_161953

どんな回路だったか思い出すついでに基板の配線も見直してみたところ、電流検出の部分に配線ミスが見つかりました...。つまり以前の実験結果が全部おかしかったことになりますが、影響はそんなに無いようですし、どうせ今回実験し直すのでまぁいいです。

実験するにあたり、速度測定用の光センサを先端部分に追加しました。
IMG_20200402_201142



今回の実験では電流引き抜きの効果について確かめようと思います。電流引き抜きは私が勝手に読んでる名前ですが、それが何なのかは今から説明します。

まず、一番初歩的というか、簡単というか、よく見るというか、サイリスタまたはトライアックを用いた回路がありますよね。サイリスタ系は電流容量が大きめで入手性が良いのでよく使われます。
サイリスタ型
LGでは、プロジェクタイルが加速コイルの真ん中らへんに来たあたりで電流が止められれば、つまりは通電時間を変えられれば、引き戻しが発生せず効率が良くなるはずです。
しかし、サイリスタは自己消弧は不可能であり、通電時間の動的な変更ができません。(還流ダイオードがなかったらどうとか逆充電がどうとかは今回は割愛します...)
この回路の場合、通電時間はコンデンサの容量とコイルのインダクタンスや抵抗成分などで決まるため、それらを調整していい感じになるようにします。(なお実質変更できるのはコンデンサの容量のみなので、コンデンサを付けたり外したりして調整しているのをよく見かけます)


でもそんなの面倒くさい、通電時間を自由自在変えたいということで、スイッチング素子をMOSFETやIGBTなどの自己消弧可能な素子に置き換えたものが考案されました。
MOSFET型
パッと見通電を途中で切れる感じがしますよね。しかしよく考えると、素子がOFFしたところでダイオードを通って還流して結局のところサイリスタ型とやってることほどんど変わらないんですわ。ちなみにこのダイオードがなければ過電圧が発生して素子が壊れます。

両者の回路をシミュレーションしてコイル電流を見てみました。3msのところで電流を切ろうとしてます。
緑がサイリスタver、赤が途中で切ろうとしたverです。回路の抵抗成分で電流が減衰するのを待つのみで、切りたいところで切れていないのがわかります。
電流波形比較1


それで考案されたのが回生型回路です。今までとは違い2つ素子を使い少々複雑です。
回生型
両方の素子をONすることでコイルに電流が流れ、両方OFFで電流を切ります。OFF時のコイルの両端電圧はコンデンサ電圧と同じくらいになるので、コイル電流をスパッとゼロまで落とすことができるのです。黄色がその波形です。
電流波形比較2

他にもスパッとする回路はいろいろありますが今回は省略します。


このスパッとゼロまで持っていくことをを電流引き抜きと呼んでますが、実際のところどの程度効果があるのか確認してみたいと思い、実験することにしました。




実験の前に、使用した回路やコイルなどの装置の説明をします。
コイルは5段で、間に光センサ、先端の方には先程追加した速度測定用の光センサがあります。
本体

回路全体はこのようになっています。いわゆるフル回生型のものです。
全体回路図
主回路がA回路とB回路に分かれているのは、1段目を通電した直後に2段目を通電したいとか、2段同時通電とかをやりたかったからです。

回路の制御はマイコンで行います。電流の制御自体はマイコン内のオペアンプ、コンパレータ、ロジック回路などを使いハードウェア的に行い、どの段を何秒間動かすかなどの処理はソフトウェアで行います。
以下の画像がそのマイコン内の回路ですが、これがA回路用とB回路用の2セットあります。[ハイサイド制御]、[ローサイド制御]とローサイド素子(M2~M4)の切り替え部分がソフトウェア側で制御するところです。
内部回路図
この回路を組むと、加速コイルの電流を定電流制御することが出来ます。




実験方法について説明します。

今回は電流引き抜きなしと電流引き抜きありの2つの方法を比較するため、MOSFETの通電パターンを変えます。

まずは電流引き抜きなしの方です。
ハイサイド素子(M1)は、[ハイサイド制御]がHかつコイル電流が一定以下ならON、そうでなければOFFするようにし、ローサイド素子(M2~4)は[ローサイド制御]を常時Hとしていかなる時でもONにします(もちろん駆動する段によってM2~4のどれかを選ぶ形になります)。
[ハイサイド制御]をLにして通電を停止しようとしても、コイル電流はD1-コイル-ローサイド素子を還流する形で流れ、コイル両端の電圧も小さいため、比較的長い時間電流が流れ続けるはずです。
この動作は先述した"電流を途中で切ろうとしたけどうまく切れなかった回路"に相当します。

次に電流引き抜きありの方です。
ハイサイド素子(M1)の動作は電流引き抜きなしの方と同じです。ローサイド側の動作が先程と異なっており、通電を停止しようとすれば、[ローサイド制御]をLにしてローサイド素子もOFFになるようにします。するとコイル電流はD1-コイル-D2(~D4)-コンデンサバンクの形で流れることになります。このように流せばコイル両端の電圧が高くなるため、素早く電流をゼロにすることができるはずです。


以上がありとなしの差で、以下は両方同じとします。


コイル電流は約30Aで定電流制御し、なるべく電流の変動が小さいようにコンデンサは150V前後とします。


各段の通電は以下のように行います。
①センサ1が反応した瞬間、1段目を通電
②センサ2が反応した瞬間、1段目を停止、同時に2段目を通電
④センサ3が反応した瞬間、2段目を停止、同時に3段目を通電
⑤センサ4が反応した瞬間、3段目を停止、同時に4段目を通電
⑥センサ5が反応した瞬間、4段目を停止、同時に5段目を通電
⑦センサ6が反応した瞬間、5段目を停止
といった感じで通電させます。(コイル+センサ)の長さとプロジェクタイルが両方同じ35mmなのでこの動作で大丈夫なはずです。


速度の測定は、速度測定用センサの信号を直接オシロスコープで観測し、プロジェクタイルがセンサを通過する時間と、2つのセンサを通過する時間差を測定します。プロジェクタイルの長さもしくはセンサの間隔から速度を計算し、それらの平均を結果とすることにします。




実験結果です。

生データはこんな感じ。6サンプルずつしか無いですがさほど大きな差はないので大丈夫でしょう。
生データ

速度・効率の平均は以下の通りでした。

電流引き抜きなし
速度:14.77m/s
効率:7.65%

電流引き抜きあり
速度:18.20m/s
効率:12.33%


波形です。
CH1(黄色):速度測定用センサ1波形
CH2(水色):速度測定用センサ2波形
CH3(紫色):A回路電流波形(オペアンプを通した後)
CH4(青色):B回路電流波形(オペアンプを通した後)

電流引き抜き無し
DS1Z_QuickPrint149

電流引き抜きあり
DS1Z_QuickPrint1


CH2(水色)をコンデンサ電圧にして波形を見てみました。
電流引き抜きなし
DS1Z_QuickPrint152

電流引き抜きあり
DS1Z_QuickPrint3


電流引き抜きありとなしでは出力・効率ともに引き抜きありのほうが良いという結果がでました。余裕があるのであれば、電流引き抜き回路がある分に越したことはなさそうです。

電流引き抜きなしの電流波形を見ると、各段電流を止めようとしたところでグニョンと曲がっています。普通のコイルの場合はそのままだんだん落ちていく波形になるはずですが、途中で横ばいになったり、5段目に至っては電流値が一瞬上昇しています。プロジェクタイルが抜けていくことによってインダクタンス値が減少、代わりに電流値が上昇しているんだと思いましたが、プロジェクタイルの運動エネルギーが回生されてコイル側に返ってきているとも見えます。SRモータの回生動作と同じような感じがします。よく考えたらLGなんてリニアSRモータみたいな感じですしね。

今回の実験では「電流引き抜き自体に効果がある」ということを確かめることができましたが、それがどれくらい効くのか、確実に効くのかは、条件を変えて確かめる必要がありそうです。

多段式LG試作1

いろいろな事情から、少しの間隠語としてLGを使います(Lはコイル、Gはガン的な)。

次期LGは、なめらかな加速・速度の調整ができるような感じのものを作りたいと思います。
それに先立って、回路・コイルの構造の検討、制御方法の検討のため、回路とコイルの試作をしてみました。
PICT_20190809_154641
PICT_20190809_154821

一応6段式ということになっています。
回路は2系統あって、1・3・5段目と2・4・6段目を駆動するようになってます。フル回生型で定電流制御付きです。


センサも色々試してます。色々実験するという性質上、確実に反応するようにインタラプト方式にしました。
DSC_3952

3mmの赤外線LED&センサを使って5mm厚のアクリルに挿入しています。前は8mmとか10mmにぶっ刺してたんでちょっとは薄型化できたと思います。
アクリルは黒にしました。前までは何も考えず透明を使っていましたが、黒というか不透明なアクリルなら外乱光の影響を受けにくいし、隣の段のセンサからの光で誤作動することが少なくできる気がします。

直射日光下で試験してみたところ、実用上の問題はなさそうな感じでした。バレルの中に照らしてみても問題有りませんでした(バレル-センサ間の距離が長いおかげもありそう)。黒アクリル+センサーぶっ刺しは有効かもしれません。
逆に一番影響を受けたのはセンサーの後ろ側(基板側)から照らしたときでした。ここさえなんとかすれば大丈夫な感じでした。


とりあえず動作確認として通電する段を1段ずつずらしてみました。
ちゃんと段ごとに移動してるね


で、メインの実験
内容としてはまず1段目の手前のセンサが反応したら1段目をONします。
次の段の手前のセンサが反応したら、今の段の電流を切って、次の段をONする、というのを繰り返していきます。
まぁ要するに普通の多段式とほぼ同じです。全体としてみた時、電流が切れる瞬間がないので、連続的に加速して効率いいんじゃね?的な。しらんけど。ホントは色々期待してる。
ちなみにこの動作をするにはセンサ間の長さより長いプロジェクタイルを使わなければいけません。

コイルの電流波形
DS1Z_QuickPrint85

紫が135段目の電流、青が246段目です。
左から順に1段目2段目...となっており、徐々に時間が短くなっていることから加速しているのがわかります。
まぁなんつうか思ってた通りすぎてアレ
このときの効率は10%くらいでした

で、色々試そうとしてたら コイル崩壊した 何もしてないのに...
DSC_3953

この後破壊した段を除いて実験を再開しましたがそれはまた次回

何もなし

7月は特に何も作りませんでした。したがって書く内容が無いよう

作ったといえばこれくらいです。
DSC_3919
次期Lガンの試作回路の一部です
できれば8月はこれをどんどん作っていこうかと思います


記事が短すぎるのでちょっと前に上げたVVVF動画でも貼っておきます

回生型コイルガン-完成

回生型コイルガン

コイルガン完成しました!!!!!!

スペック------
射撃モード:単発・連射・3点バースト
出力エネルギー/速度:4~5J/約16m/s
連射速度:毎秒6発(最大)
充電速度:0.2秒(1発当たり)、1秒(最大)
充電器出力:170W
コンデンサエネルギー:162J
有効射程:5m以下
装弾数:6発
照準器:レーザーサイト
電源:リポバッテリー(4S)
---------------------

動画作ったから動作はこっち見てね


作った感想:おおむね満足、ちょっと凝りすぎたかな

動画にも書きましたが、今回のメインである回路は思ってたとおりの動作をしてくれました。素子も人為的ミスで飛ばす以外は飛ばさなかったし。
筐体に関してはひどい有様で、最初マガジンには8発入るように設計してたんんですが、8発入れるとジャムって動かないんで6発に制限したり、それでもジャムって最悪
原因は後ろ方向に斜めにいくマガジンのせいで、7発以上入れると弾が斜めになっちゃって弾が出てこないっていう。
ソレノイド周りがめんどくさいことになったのもこのせいです。
てか6発ですらジャムっててヤバイ
真っ直ぐなマガジンにしたらちゃんと動きそう(てきとう)
まぁ試作マガジン作った直後くらいから気づいてたけどもう設計変えられなかったんで続行という感じでした。

あと通電時間自動最適化は
・自動だとサンプル数の少なさ・誤差の影響から"最適"な値を見つけられなかった
・手動で最適化したほうが強い
・どうせ同じ種類の弾だから手動で十分(多くても数種類だし)
という理由で消しました。
自動最適化では撃つ数が少なくても済むようにプログラムを組んでたのですが、結局だめでした。手動では撃ちまくって良い感じの値を見つけていく感じで、自動でもそれくらいやればいいんだろうけど、それ割に合わなくね?みたいな。最近流行りの機械学習とかよくわからんけどそういうのでやったら良さそう(?)わからん。

消す前の動作風景


そういえばTwitterに投稿したらちょっとバズりまして......

動画のコメントとかでも同じだけどすごいとかかっこいいとか言ってくれる人はホントに嬉しいです(9割くらいの人はこう言ってくれてるまじ嬉しい)
こうしたら強くなるんじゃない?みたいに言ってくれる人もいるけどそれ大体考え済みで、理由があってそうしてるんだよなぁ
それとやっぱり、銃刀法やばない?な人もいたけどこの界隈じゃ慣れっこだから予想はしてたしまぁ...でも大丈夫だよって言うと理解してくれる場合が多い
でも脳死銃刀法指摘奴、テメーはダメだ
問題がないことを言っても「でも自分が危ないと思ったから違法」みたいなこと言ってる人もいて...もう話すだけ無駄だよなぁ
まぁ実際危ないしグレーなゾーンなのは変わりないのでしょうがないですよねぇ
SNSの性質上動画サイトよりも燃えやすいんですよね、こういう危険な工作の類はSNSには上げないほうがいいのかなーというのが今回の教訓です。元々アングラ感ある界隈だしな
ただ法律問題自体は大昔から議論されてるけど結論としてやっぱり合法っぽいんだよな
昔からあるコイルガンも削除されてないということは、多分問題ないんだろうなと思う
あーあと外国人からの反応も結構な数あってびっくりしました。coolって言ってくれて嬉しかった。


今回制作に協力してくださった方々ありがとうございました。
技術・部品提供:bass氏
レーザー加工:oz氏
弾制作:HidenoriOgawa氏・先崎氏
BGM:Radiobeat幹線街路直線コース
動画チェック:ぐり・R
そういやR君はデザイン絵描いてくれたけど没にしてごめん


次何作ろうかなぁ

回生型コイルガン-弾作り・レーザーサイト

そういえば弾について書いてませんでした。
今回のコイルガンでは弾に直径12mmの鉄丸棒を用います。
いままでは試験用の弾として偶然手に入ったソレノイドのピンを使っていましたが、やはりちゃんとしたものを作りたくなります。数も足りないですし。
家では鉄棒の加工はできそうになかったので、母校の後輩と先生にお願いして加工してもらいました。感謝です。
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数が大量にあるのは重さの違う弾を数種類作って実験したかったから。
中を肉抜きしていますが磁束的に良く無さそう???
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それはそうと、撃って遊んでたら弾同士がぶつかって先端が潰れるわけよ
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まぁ安全のためにも尖らせなくてもいいかなと言うことで丸く削りまして。
あとは磨いたりして完成。
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いやホントは"銃弾らしい形"にしたかったんですがね、コイルガン本体の仕様上そういうのが難しかったんですよね。なんでそれっぽい形ということで...


あとレーザーサイト作りました。
厚さ5mmの黒いアクリル板に直径4mmのレーザーモジュールを入れてみました。加工中割れそうで怖かった。てかこのサイズでよくレーザー作れるよな...。
後ろを斜めにしたのがお気に入りです。
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裏、フライス加工(笑)とかやったり接着剤のせいでめっちゃ汚くなっちゃいました。正直見えないからどうでもいい(?)
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コイルガン本体の後ろ側にコネクタ付けてレーザーサイトが嵌まるようになってます。
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取り付けて確認してみると、先端と干渉してしまったので
DSC_3510

サイトと本体の隙間に熱収縮チューブの破片を入れて強引に解決してやりました。
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良い感じです。ちなみに撃つモードかつ弾がセットされている場合のみレーザーが点灯するようになっています。
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